デナコール開発の歴史

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開発の歴史社長に聞きました!

デナコールには独自の合成技術と
発想力で開発に挑んできた歴史があります。
その歴史と開発秘話について、
当時製品開発に関わっていた藤井悟社長
話を聞きました。

代表取締役社長 藤井悟 代表取締役社長 藤井悟

デナコールには独自の合成技術と
発想力で開発に挑んできた歴史があります。
その歴史と開発秘話について、
当時製品開発に関わっていた藤井悟社長
話を聞きました。

略歴

1984年4月
ナガセ化成工業株式会社 入社

1994年4月
営業開発部 研究開発部門 高分子課 課長

2001年4月
ナガセケムテックス株式会社
化成品事業本部 研究開発部門 機能材料開発課 課長

2004年4月
研究開発部 部長

2009年4月
研究開発本部 本部長

2014年7月
取締役 機能化学品事業部長

2019年4月
代表取締役社長

入社時からデナコールの開発に携わり、
現職に至るまで非エポキシ製品を含む多岐にわたる製品の開発にも携わる

現在のデナコールは
水溶性のエポキシ化合物が代表的ですが、
なぜ水溶性のエポキシ樹脂を開発したのでしょうか?

1965年頃(昭和40年頃)、当時の長瀬産業は染料を販売しており、その顧客である繊維メーカーを
ターゲットとして、尼崎東工場にて繊維加工剤としての開発をスタートさせたことに始まります。
繊維の水酸基にエポキシ基を反応させることにより、防縮・防しわなど、
顧客の繊維製品の特性を向上させることが狙いでした。
繊維を処理する際には水を使用するので、水系で使える材料であることが重要
であったため、水溶性のエポキシ化合物を開発しました。
現在でも繊維処理剤に使用されている「デナコールEX-313EX-314EX-832」はこの頃
に開発されたものです。
後に繊維から紙にも展開され、少しずつ製品群が広がり始めました。

昔の尼崎東工場の画像と設立時の龍野工場の画像

水溶性エポキシ事業が
広がったきっかけを教えてください?

1970年代、世界ではグリセリンタイプのエポキシ樹脂がポリエステルタイヤコードの接着向上剤として使用されていました。
この情報をもとに、同じタイプのエポキシ樹脂をタイヤコードメーカーに紹介しましたが、当初はあまり相手にされませんでした。ところがいろいろな事情が重なり、グリセリンタイプのエポキシ樹脂の供給がタイトになったために、ナガセ化成工業(現ナガセケムテックス)にエポキシ樹脂の問い合わせが増えました。
しかし、当時の生産方法は、収率が低い、バッチあたりの収量が少ない、大量の有機溶剤を使用する、等を理由にコストが高く、顧客が求める価格との乖離がありました。
ただ、このビジネスチャンスを掴むために様々な検討を行った結果、それまでとは大きく異なる画期的な生産方法を見出しました。
それにより収率が大幅にアップし、有機溶剤の使用も最小限にできたことから排水コストも減り、全体的なコストダウンに成功しました。
こうして生まれたエポキシ化合物群を「デナコール(DENACOL)」と名付け、広く展開していきました。

昔の尼崎東工場の画像と設立時の龍野工場の画像

そうして生まれたデナコールは
どのように認知されていったのでしょうか?

販売を広げていく中、高水溶性のエポキシ化合物を求められることがあり、
エチレングリコールタイプの「デナコールEX-810」を開発しました。
このような完全水溶性かつ低粘度のエポキシ化合物を製造することは非常に難しく、
ここでも新たな生産方法を開発しています。
この特長あるエポキシ化合物の用途開発を続け、1984年頃に吸水性樹脂用途に採用され始めました。
1988年の冬、私は入社4年目だったと思いますが、この用途でのさらなる拡販のため、
先輩とデータ取りを行い、カタログとデータを持って初めてアメリカへ行った時のことをよく覚えています。
その後、グリセリンタイプやエチレングリコールタイプに続けて、特殊な水溶性エポキシ化合物のラインナップを増やしていくことで、「デナコール」は広く認知され、用途も広がっていきました。

デナコールには水溶性タイプ以外の
グレードもありますか?

デナコールの品数が増えていく中で、さらに可能性を広げていこうと、水溶性だけにはこだわらずに樹脂の添加剤や溶剤系塗料の架橋剤として様々なグレードの開発を行いました。
時には共同開発という形でお客様の要望に合ったものをデザインし、他社にはできない技術力とスピードで事業を広げていきました。
その過程で多官能のソルビトールを母骨格とした多官能タイプの「デナコールEX-614B」、単官能タイプの「デナコールEX-141」などが生まれました。

印象に残っている製品を教えてください。

単官能タイプのシリーズは、自身が開発担当者として、
如何に純度を上げるかなどの多くの課題と向き合いながらラボで合成を行っていましたので印象に残っています。
当時は新しい構造のエポキシ樹脂をつくるために様々な合成方法を試して実験しました。
失敗もたくさんしましたが、当時の上司が自由に研究をさせてくれましたので、
常に開発マインドを持って果敢に挑戦することができました。
また、当時の上司や先輩と今でも語りあうのは、やはりEX-810EX-313EX-614Bなどの製品群のことです。
現在でも主力製品にあたるこれらのグレードは、本事業の黎明期を支え続けていたNCXにしか作れない、
NCXの優れた技術力をもって作られた製品です。

今後のデナコール事業に
期待することは?

さらにグローバルな展開を進め、
この事業を伸ばしていくことを期待しています。
そのためには、お客様の要求に合った製品を提案し、提供し続けることが重要ですが、日々要求は変わります。
我々が今まで培ってきた知識をどこよりも先に生かし、社会の役に立つ良い製品を提供し続ける、そのようなモノづくりが続いていくことを期待しています。